夏休みの宿題!親子でどう向き合うか?
梅雨が明けて、いよいよ夏本番!
来週から夏休みというご家庭も多いのではないでしょうか?
小学生にになると「夏休みの宿題」がありますね。もしもお子さんに「宿題はやりたいくない!!」と言われたら、どのように対応したら良いでしょうか?
子どもの夏休みの宿題への寄り添い方をお伝えします。
この記事の著者
おまんじゅう
千葉大学教育学部小学校教員養成課程算数科専修卒業。中学校での数学教員を経て結婚後出産。
現在塾で中高数学を教えながら三人の子供を育児中。放課後等デイサービス、不登校学習支援や心のケアの仕事にも携わり今一度自分の子育てを振り返ることを決意。筑波大学人間学群障害科学類で科目等履修生として障害児教育や障害者福祉について学ぶ。
【所持資格】
・小学校教諭一種免許状
・中学校教諭一種免許状「数学」
・高等学校教諭一種免許状「数学」
まずは子どもの「宿題への取り組み方」を観察しよう
宿題への取り組み方、お子さんはどんなタイプ?
兄弟の中でもマイペースな子、せっかちな子、明るい子、おっとりタイプ、個性がまるで違うように、宿題のやり方にもその子らしさが表れます。
はじめにやってしまうタイプか、後で一気にやるタイプか、お子さんはどんなタイプでしょうか?
①夏休みのはじめの方で、宿題を終わらせる子
夏休みの後半戦ではなく前半戦に宿題勝負をかける子は、宿題の全体像を把握できていることが多いです。
自分のペースや適度な学習負荷の感覚もわかっているので、夏休みのスケジュール管理と合わせて宿題のペース配分もできるでしょう。
親御さんが一緒にスケジュールを立てるところを手伝ってあげるだけで、自分なりのペース配分のコツをつかむケースもあります。
②夏休みの宿題は、後半戦でがんばる子
夏休みの前半では、やりたかったことに没頭する!その時々の行事を満喫するタイプ。まだまだ夏休みがあるから大丈夫と思いがちですが、半分過ぎたくらいから心配になり始めます。これでは宿題が終わらないかも…。
こういう場合は、序盤のうちに手の付けやすい=負荷の小さい課題に取り組んでおくことをお勧めします。
この日にこれをやらなければいけない!というルーティンペースが苦手なので、涼しい朝の時間帯に、この簡単そうな部分だけ何ページかやっておこう!など親御さんから声掛けを入れてあげるのが有効です。
「今日やる分」を考えて、少しずつ積み重ねる。それだけでも、後半の宿題のヘビーさは軽減するので、後々楽に感じるはずです。
③最後まで夏休みの宿題はやらない子
実は、さいごまで宿題をやらない子もいます。例えば受験期に塾で出されている課題が膨大で、学校の宿題まで手が付けられない。また、そもそも学習的困難さがあり、支援のない状態で取り組むことが難しい場合など。こういった場合は、子どもの状況や考えを丁寧に捉える、受け止めることも大切です。
夏休みの宿題「やりたくない!」と言ってきたら?
お子さんが「宿題やりたくないんだ…」と言ってきたら、みなさんはなんと応えるでしょうか?
「やらなきゃダメじゃない」「コツコツ頑張ってみよう」と返してしまいがちですが、せっかくですからその言葉の背景を考えてみましょう。
もし宿題をやらない・やれない状況があるなら、そこから考えられるのは
①スケジュールの組み立て方がわからない、学習への抵抗(困難さ)がある
②宿題よりも他にやりたいことがある
の場合が多いです。
両者どちらのパターンであるかによって、親御さんがサポートできることは変わります。
①スケジュールの組み立て方がわからない、学習への抵抗(困難さ)がある場合
①の場合は、親御さんが時間を作って、お子さんの夏休みの学習計画を立てることや、取り組みに寄り添うことが大切になります。
夏休みの習い事や家族行事の予定を一緒に確認して書き出して見ましょう。そのスケジュールに合わせてお子さんに合った学習計画を立ててみる、この部分を手伝ってあげるだけで、今後の見通しが立ち、子どもの学習意欲は格段に上がります。
②宿題よりも他にやりたいことがある場合
②の場合は、宿題をやりたくない【理由】を丁寧に聞いてみることが重要になります。
お子さんから「〇〇に興味があるんだ」「算数ドリルが苦手なんだ」「本を読むのが好きor嫌いなんだ」「虫を捕まえに行きたいんだ」「漫画を全巻読破したいんだ」「ゲームを一日中やりたいんだ」等話をしてもらって、いろんなお子さんの考えに触れることができるでしょう。
お子さんの興味関心がどこにあるかを知ることは、これからの進路を考える上でとても有益なことです。
この夏時間をかけて取り組みたい事柄から、新たな可能性が広がるかもしれません。
夏休みの宿題がない学校も出てきている
最近の学校の取り組みとして、夏休みの宿題だけでなく、そもそも日頃の宿題を出さない学校も増えてきています。
そのような学校の方針としては主体性を尊重する考えが大切にされていて、自分の興味関心がある分野の調べ物や研究など、個人の自由に任せることによって、より学習が主体的で能動的になることが期待されています。
宿題がないというよりは「自分でやることをみつけてね」というニュアンスの方が近いかもしれません。提示された学習をこなすよりも難しく感じる場合もあり、自由であるからこそ計画性や日常生活や自分の興味関心にアンテナを張ることが求められます。
また一方で、受験対策で塾に通う子どもが増加し、塾の宿題をこなすだけで手いっぱいという現状もあります。この場合は学校の宿題から解放されることは日々の学習負担の軽減になります。学習の配分を自分で組み立てることができるため、自分のストロングポイントやウィークポイントの強化に時間を充てられるメリットもあります。
しかし、塾などに通う子供への配慮として宿題を出さないという方針で在れば、塾に通わない子どもへの課題提示は必要でしょう。経済的な格差による学習機会の不均等に関しては懸念する必要があります。
「できた・できない」「理解した・理解していない」ではない「本気で考える機会を」
長期休みで、時間はたっぷりある!せっかくの機会なので意欲がある分野に関して、本気で考える楽しさを味わってみるのもいいかもしれませんね。
小学生であれば工場見学や、気になる分野の博物館や科学館に行ってみる。図書館で好きな本を探すなど。パソコンを開けば動画やサイト検索が簡単にできる時代なので、わざわざ出かけてまで…と思われるかもしれませんが、小さいうち程いろんなジャンルの刺激があれたらいいなと思います。
興味のある分野の動画検索だと「オススメ」機能が充実しているので、自分の興味関心を能動的に動かす前に情報を提示され続ける可能性があります。できれば実体験や実物との出会いのチャンスを保証し、まるで関連性のないような思いがけない分野にも出会える機会を作ってほしいと思います。
もっと調べたい!考えてみたい!ことに出会えたら、これ以上に素晴らしいことはありません。子どもの目が輝く瞬間を一緒に喜びましょう。それは恐らく、その子だからこそ喜びを感じられる探求の入り口です。
本当の学びとは、答えが出ないことの方が多いもの。最後に〇なのか×なのかの判断ではなくて、探求の中で何を感じ何を思い、何を発見したのか。小学生の子供たちでも、自分の興味のある分野であればそういった経験は出来ます。何かに没頭できるのが夏休みのいいところですね。
子どもの気持ちと対話する
もしも子どもの気持ちをヒアリングした結果、夏休みの宿題を「やらない」ことをお子さんが決めるかもしれません。そうであるなら、それを頭ごなしに否定するのではなく、それによっておこる可能性について、お子さんと話ができたらいいですね。
そして、宿題をやらない・やれない理由を、どんなに短い言葉でも、たどたどしい文章でも、担任の先生に自分で伝えることは必要です。親御さんはそれを応援する側でいるというのではどうでしょうか?
児童生徒が伝えてきてくれたことを、またひとつのきっかけとして教員の先生方も捉えてくれることがあったら尚嬉しいなと私は個人的に思います。対話がすべての土台です。
動画やゲームとの付き合い方
これは夏休みに限らずですが。子どもたちのゲームや動画時間が年々長くなる一方で、その付き合い方に関して頭を抱える親御さんもいるかもしれません。
私も小中学生の母親として、「ゲームや動画に関しては家族の中でルールが必要だ」という意見を持っています。我が家のルールはパソコンや携帯はリビングでのみ使用可能。夜寝る時間にはみんなの電子機器はリビングに置いて各自好きな本や漫画を読んで寝ることになっています。夜はしっかり寝て、明日も元気に起きてほしい。その母の願いに、今はみな賛同してくれています。
そして夏休みの午前中は勉強やスポーツを優先的に。それらの満足度で午後の過ごし方を決めるように話しています。私は仕事で留守にすることも多いので、子どもの自主性に任せています。
自分たちで十分考えられるし、友達との時間の兼ね合いで午前に遊びたい場合は、終わってからその日にやるべきことをやっているだろう姿を見ると、よく考えているなぁと思いますね。
また、最近我が家で始まったのは、親戚&家族内限定公開のyoutuberです。日々の家族の様子を写真や動画で撮影して、それをお互い共有する。息子と娘で役割を分担して、動画を作成し編集していました。映像の色合いに対して字の配色はどれが見やすいか、全体の中で盛り上げる部分はどこか、タイトルは何がいいか、どんな曲をつけたらいいか、やることは無限にあるみたいです。
これらの作業は、教科で言えば、美術、国語、音楽、などの要素を含んでいますね。
夢中になってるときは本当に楽しそう。パソコンやタブレットと上手に付き合う世代の子どもたちのことを親世代は適度に見守りたいものです。
夏休みの「宿題応援」と「こども食堂」
地域によっては、夏休みの宿題を応援する取り組みがあるところもあります。
勉強できる場所を用意している自治体もあり、ボランティアの方々や教員免許をお持ちの方、退職された先生方が学習支援を行うケースもあります。お住いの自治体で夏休みの宿題を応援している取り組みがあるかを調べてみるのもいいですね。
夏休みに限らず、子どもの支援として「こども食堂」があることはご存じですか?
子ども食堂とは子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂です。子どもだけでなく地域の方々も利用できる場所がほとんどです。「地域食堂」「みんな食堂」という名前のところもあります。子ども食堂の数は増加しており現在は9000か所以上にあるそうで、これは全国の公立中学校数と並ぶほどだと言われています。
こども食堂の目的は、おなかをすかせた子どもへの食事提供、孤食の防止、地産地消による食育など様々です。学校給食が途切れる夏休みは、子どもたちの栄養管理も止まってしまいます。もし何かの時、子どもにご飯を食べさせられる場所があるという地域のネットワークは知っておいてもいいと思います。
パソコンやタブレットを用いた学習
今はほとんどの学校で一人一台パソコンを用いて学習できる環境が整いつつあります。タブレット学習であれば、夏休み中でもそれぞれの児童生徒の進捗状況を学校側も把握できますし、ソフトによっては理解度や苦手分野の傾向も捉えることが可能です。
私もまだまだ知識不足ですが、AIが個人個人の理解度に合わせて宿題のコーディネートをしている学校もあるでしょう。ドリルなどの量がある課題に関しては、確認作業が教員の負担であるという問題がありました。その点でもタブレット学習の導入は教員の負担軽減も見込まれる上、個別のレベルに準じた学習提示ができる良さもあります。
私の小学生時代は夏休みといえば毎年「夏休みの友」という宿題に取り組みました。今は学校によって宿題の特色も違い、様々な夏休みの宿題の在り方があるなぁと感じます。
さいごに
保育園では夏休みの設定はありませんが、幼稚園・小学校・中学校・高校のお子さんのいるご家庭では、いよいよ夏休み期間に突入します。
今回は学校から出される夏休みの宿題に関して、私の想いを述べました。
スタイルは各御家庭それぞれのカタチがあってもちろんいいと思います。
実は数年前の夏休み、我が家は中学受験をするお兄ちゃんと共に模造紙二枚分の勉強スケジュール管理表を作って勉強づけの夏休みを過ごしました。記憶に残るほど大変でした。
一方、娘の方は未だに全く勉強の方へ心が向くことはありません。
夏休みの過ごし方にも宿題への取り組み方にも、正解はない!
ママパパお子さん、ご家族が健康で楽しい夏休みを過ごせますように。
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