
株式会社東京山側DMCの宮入正陽さん、櫻澤裕樹さんがご来社されました◎
2025年5月某日、株式会社東京山側DMCの代表取締役を務める宮入正陽さん、「みちくさの達人(サクちゃん)」としても活躍される櫻澤裕樹さんがご来社されました◎
今回は、当日の取材の様子をご紹介します!
「株式会社東京山側DMC」とは?

株式会社東京山側DMC様は、東京都あきる野市を拠点とし、山間部を中心とした「東京山側」で地域資源を活かした自然探究のためのプログラムを積極的に行っている団体です。
「探究型自然体験学習スクール」や「アドベンチャートラベル」を展開し、環境を軸にまちづくりを行っており、年間3万人を動員!非常に多くの親子がプログラムに参加しています。
取材当日の様子

今回は弊社の地層や防災に関するコンテンツもお手に取ってご覧いただきつつ、両社の取り組みについてお話を交わす形でのインタビューとなりました◎


「みちくちの達人(サクちゃん)」とは?
株式会社ピコトンにご来社された、株式会社東京山側DMCの代表取締役を務める宮入正陽さん、そして「みちくさの達人(サクちゃん)」としても活躍される櫻澤裕樹さん。
まずお話を伺ったのが、「みちくさの達人(サクちゃん)」というお名前についてでした。

この「みちくさの達人」というは、櫻澤さんが以前番組アドバイザー・出演を行っていたNHK Eテレの「なりきり!むーにゃん生きもの学園」という番組内で生まれた呼び名です。
この番組の立ち上げからアドバイザーを行った櫻澤さん。
株式会社東京山側DMCの活動拠点でもある東京都あきる野市での収録では、生きものの解説などの役割で番組に出演するなど、幅広く活動してこられました。

そんな櫻澤さんは、元々、全国の国立公園の環境に対して景観保護などの観点から認可を行う「自然保護官」※として、環境省の職員をされていました。
大学・大学院時代に生物多様性に関する研究をされていた櫻澤さんは、一般の方の見学もできる上、標本なども多く収蔵されている「生物多様性センター」にて、標本に関するお仕事を行っていました。
この頃から櫻澤さんは、「崖に咲いている花には、競争を避けるという戦略がある。 昆虫の形にも、一つ一つ理由があり、他の生き物との関係により、その形や習性が出来上がっている。こうした、一目見ただけでは分からない、生き物と他の生き物との相互作用と、その面白さや重要性を分かりやすく伝える」ための普及計画や活動が好きだったそうです。
その後、大阪など各地で国家公務員としてお仕事をされた櫻澤さん。
しかし、任期が決まっている国家公務員は長期的に地域に関わるのが難しく、そのことに違和感を感じ始めたんだとか。
やがて「地元のことは地元でやらないと」と考え、櫻澤さんの活動は東京都あきる野市での活動へシフトしていきました。
※「自然保護官」とは
環境省の地方環境事務所に所属して、国立公園等の自然保護地域の保全のほか、自然とのふれあいや自然資源を活用した地域の活性化に取り組む。その正式名称は自然保護官または国立公園管理官(※)で、通称してレンジャーと呼ばれる。※国立公園管理事務所におけるレンジャーの役職名。
引用元:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/501
インプットは「朝8時半まで」。市役所で働きながらも自然と関わり続けた櫻澤さん
櫻澤さんは地元である東京都あきる野市に戻り、市役所で5年ほど勤務されました。
そんな中で始められたのが、秋川でのごみ拾い「秋川リバークリーンナップ」活動でした。
毎日、市役所に出勤する前の「朝8時半まで」が自然と触れ合うインプットの時間だったため、その時間は秋川を泳いだり、リバークリーンナップ活動を行うようになりました。
過去のごみを回収し、現在のごみの様子を把握し、ごみのない未来を作るために、ゴミ拾い活動を毎朝行われている櫻澤さん。
さらに、海洋汚染やマイクロプラスティックの問題への危機感から、「ごみが台風で流される前に、上流(秋川の河原)で拾おう」と考えてこの活動を始められたそうです。

櫻澤さんがこうした活動風景をSNSで発信したところ、同じ市内で同時多発的にゴミ拾い活動が広まっていきました。
その過程で知り合ったのが、当時、株式会社東京山側DMCの前身である一般社団法人を運営されていた宮入さんでした。
この出会いがきっかけになり、独立を志した櫻澤さん。結果的に、このインプットの時間が今のお仕事に繋がったということでした。
「子供の自殺率を下げたい」。幼少の頃から師匠の下で大自然に触れてきた宮入正陽さん

宮入さんは幼少の頃、家族ぐるみで関わりのあった環境保護のレジェンド山本教雄(やまもと・のりお)先生からかわいがられ、志賀高原に山小屋を持つ先生のもとを訪れては、大自然を肌で感じる体験を沢山されてきたんだとか。
その後、自然食品を扱う会社で発酵や醸造に関わり、経済の仕組みを学ぶためにM&Aの分野でも活躍されてきました。中小企業のアドバイザーや金融の世界で活躍する期間を経て、35歳で独立されました。
独立後はそれ以前と比べて、「仕事の満足度が100倍」と振り返る宮入さん。
櫻澤さんと出会った頃は、株式会社東京山側DMCの前身である社団法人を運営されていました。
「秋川リバークリーンナップ」を通じて知り合ったお二方は、会うとすぐに意気投合。
あきる野市のことをしっかりと学んでいる宮入さんの姿勢に感銘を受けた櫻澤さんは、「宮入さんは経営の力など、自分にないものを持っている」と、独立を決意したそうです。
そしてそんな宮入さんの想いは、「子供たちの自殺率を下げたい」というもの。
子供たちの自殺率を下げるための手段として、「自然学習」の重要性に注目されていたそうで、「自然環境の魅力を人に教える能力を持っている櫻澤さんなら」と、会社への参加をオファーしたそうです。
自然探究を通して身に着けて欲しい、「違いが分かるようになる能力」

櫻澤さんは現在、株式会社東京山側DMCにて様々な自然探究のツアーを担当されています。中でも人気なのが、「化石発掘」を体験できるツアーです。
このツアーを通して櫻澤さんが子供たちに身に着けて欲しいのが、実際のフィールドに来ないと分からないような体験を通して、自然な地層がどうなっているのか、自分の手で、あるいは匂いを嗅いで、「違いが分かるようになる能力」なんだとか。
教科書では、一つの正解を求める事がよくありますが、体験学習のゴールはそこではありません。
「化石を見つける」という一つの正解を求めるのではなく、化石が埋まっている所の法則を自分で考えて、違う場所に行っても様々な物を見つけられるようになる力を育むことを目的として、ツアーを実施しています。
櫻澤さんは、「体験を終えると同じ景色でも違って見えるようになること、つまり、視野が広がる体験を持ち帰ってもらうこと」が重要だとお話しされました。
提供するツアーについて、単なるレジャーではなく「本質的な意味」やメッセージを重視して考えられている、櫻澤さんの誠実な姿勢が伺えるお話でした。
地面の歴史を遡って学ぶことで、別々の知識が一つに繋がる
さらに、櫻澤さんのツアープログラムは子供たちはもちろん、付き添いで訪れた親御様にとっても興味深い内容になっているんだとか。
化石を地層から「実際に掘り出す」体験が子供たちの理解を深めるという点から、子供たちには実際の自然にたっぷりと触れることができる体験を提供するように心がけている櫻澤さん。
一方で、既に知識の土台が出来上がっている大人に対しては、新たな発見が生まれるような知識を伝えることで別々の知識が一つに繋がるような体験を提供しているそうです。
大人たちが取り組んでいる地域の産業やまちづくり一つを取っても、その歴史を何千万年もさかのぼって学ぶことで認識が大きく変わります。
大人に対しては、こうした部分に重点を置いてツアーの内容を組まれています◎
日本の風土や生物の多様性を生み出しているのは「地面」

さらに日本の風土の多様性は、大地と大地が動くという事、つまり何千万年にも及ぶ地殻変動によって下支えされているんだとか。
「地震」を引き起こす怖いものと捉えられがちな地面ですが、こうした地面の動きや地質の違いが「地形」を生み出し、地形によってそこに住む生物の多様性が生まれます。
地震大国と呼ばれる日本では、地面の動きによって甚大な地震被害を受けることもありますが、それを補って余りあるほどの恩恵を地面から受けている、ということを体験を通して皆様に伝えたいと櫻澤さんはお話されました。
普段、こうした地層と地殻変動の説明の際には、「サンドイッチ」を例に分かりやすくお話されているそうです。
そして、実際に秋川には櫻澤さんが命名された「秋川渓谷サンドイッチ岩」があるんだとか◎
自然の違いを見分けられるようになることが「防災」に繋がる

株式会社東京山側DMCのお二人は、日頃から各地の被災地支援を積極的に行われています。
さらに、実際のツアープログラムの中でも、地面やそこに生えている植物を観察することで、地面の特徴や潜んでいる危険に気づけるようになることを大切にしているそうです。
自分の力で「自然の違いが見分けられるようになる」ことは、根本的な「防災」の力を育てることにも繋がります。
櫻澤さんは、自然の中にある違いやその特徴を「教える」のではなく、自ら見分けられる能力を磨いてもらう「サポートをする」という気持ちで関わられているそうです。
「災害の多さ」と「住みやすさ」のどちらも日本の土地の特徴

世界的に見ても自然災害が多く、決して手放しに安心とはいえない日本の住環境。
しかし櫻澤さんは、災害の多さを補って余りあるほどの恵みを地面から受けているとし、こうした「恵み」の部分を、自然探究プログラムを通してより多くの日本人に伝えたいとお話されました。
さらに宮入さんも、日本ならではの産業や農業などにも着目し、まずは日本人に日本の魅力を理解してもらうための、「風土再生」プログラムなどにも力を入れていきたいと想いを話してくださいました。
「生物多様性」という言葉だと難しい響きに聞こえますが、実は日常の中で、私たちの暮しの周りには、目に見えない複雑な生物同士の繋がりが溢れています。
株式会社東京山側DMCが実施する探究型自然体験学習スクールでは、観察眼を育みこうした「進化や自然の面白さ」に自ら気づき、感性を広げるきっかけとなるプログラムを多数実施しています。
東京山側の環境ならではの魅力を多方面から発信し、「日本の暮らし」を地面から見つめ直すきっかけをくれる、株式会社東京山側DMCでした。
→東京山側DMCの探究型自然体験学習スクールのプログラムはこちら
まとめ:今後の協働を目指して

自然探究の魅力とその重要性、そして日本の自然環境について多岐にわたってお話された、株式会社東京山側DMCの宮入さんと櫻澤さん、そして弊社の内木代表。
今後は弊社で開発中のコンテンツの開発協力や監修を、株式会社東京山側DMCの皆様にお願いする形となります。
これからの日本を担う子供たちへの想いを共に、協働に向けて良い関係性を築いていければと思います◎
株式会社東京山側DMCの宮入さんと櫻澤さん、この度は誠にありがとうございました!
