東京都美術館「つくるよろこび 生きるためのDIY」で付箋の作品に触れる女の子(記事サムネイル)

日常と芸術のつながりを体感|「つくるよろこび 生きるためのDIY」展

 10月1日の「都民の日」は皆さんどのように過ごされましたか? 国民にとっての祭日ではないため会社は休みにならない一方で、東京都内の保育園や幼稚園の一部は休園。子どもを抱える親にとっては悩ましい1日ではあります。

 以前の記事「10月1日都民の日は親子で芸術さんぽのすすめ-」でご紹介したように、都民の日は都内の美術館や動物園など多くの施設が無料公開されます。

せっかくの機会なので我が家は「東京都美術館」(東京都台東区)で開催されている展覧会「つくるよろこび 生きるためのDIY」展を訪れてみました。

東京都美術館「つくるよろこび 生きるためのDIY」のエントランス

つくるよろこび 生きるための DIY
・出品作家(展示順)
 若木くるみ
 瀬尾夏美
 野口健吾
 ダンヒル&オブライエン
 久村卓
 伊藤聡宏設計考作所
 スタジオメガネ建築設計事務所

・会期 2025 年 7 月 24 日(木)~10 月 8 日(水)
・会場 東京都美術館 ギャラリーA・B・C
・開室時間 9:30~17:30、金曜日は 9:30~20:00 *入室は閉室の 30 分前まで
・主催 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
・助成 大和日英基金
最新情報は展覧会公式サイトをご覧ください https://www.tobikan.jp/diy

 この展覧会は、その名の通り「DIY(Do It Yourself/自分でやってみる)」をテーマにしたもの。誰しもが持っている創造性に着目し、自分なりの方法で「よりよく生きる」ことを考えるきっかけを与えてくれる展示会です。

DIYと美術館、一見すると意外な組み合わせですが、DIYの手法や考え方に関心を寄せる5組の現代作家と2組の建築家による芸術作品を通じて、芸術と生活の工夫に意外な共通項を見つけられ、たくさんの面白い発見がある展示会でした。

東京都美術館「つくるよろこび 生きるためのDIY」の作品を見る女の子
東京都美術館「つくるよろこび 生きるためのDIY」の作品

 正直なところ、私自身、DIYと聞くと「家具を作る」「日曜大工」といったイメージが強く、芸術作品と結びつけて考えたことはありませんでした。今回の展覧会では身近な素材を使った作品や、参加者が直接手を動かして体験できる展示が多く、「あ、DIYって“創造すること全般”なんだ」と視野を広げてもらえた気がします。

 展示されていたのは平面作品よりも立体物が中心。なかでも印象的だったのは、観客が付箋(ふせん)に絵や言葉を書いて貼り、作品の一部として完成させていく参加型の展示です。

東京都美術館「つくるよろこび 生きるためのDIY」で付箋の作品に触れる女の子

娘は自分の思いつきを小さな紙に描き、「ここに貼っていいの?」と目を輝かせていました。小さな行為でも「自分も作品づくりに関わっている」という実感が持てるのは、子どもにとって大きな喜びだったようです。

 ほかにも、身近な物を工夫して新しい形に変化させた作品が多く、4歳の娘は「ママ、あれみて!これみて!おもしろい!」と次から次へと新たな発見を楽しんでいました。

東京都美術館「つくるよろこび 生きるためのDIY」で解説を聞く女の子
美術館のボランティアスタッフさんが作品の解説もしてくれました

真っ黒な箱の中に手を入れて、見えない状態で彫刻を触って楽しむ作品は、大人の私も触覚だけに頼る体験に少しドキドキしました。普段の生活では視覚に頼ることが当たり前になっているので、感覚が研ぎ澄まされる体験でした。

東京都美術館「つくるよろこび 生きるためのDIY」でボックスの中に手を入れる女の子

 長女は新型コロナウイルス禍のさなかに生まれた子なので、幼い頃は人が集まる場所や体験型の展示に連れていく機会がほとんどありませんでした。だからこそ、こうして作品に直接触れたり、自分の体を通して楽しんだりできる時代になったことが、とてもありがたく、少し感慨深いものがありました。

東京都美術館「つくるよろこび 生きるためのDIY」の作品

 とはいえ、0歳児と4歳児を連れて雨の中、美術館へ行くのはなかなかのエネルギーが必要。電車移動も、ベビーカーの取り扱いも、親にとっては大仕事です。それでも「やっぱり行ってよかった」と思えるのは、美術館に足を運んだからこそ得られる発見や感動があるからだと思います。

子どもの「おもしろい!」という素直な声に背中を押され、私自身も日常では感じられない刺激をたっぷり受け取ることができました。

今回の展示はベビーカーを利用しながら回れたのですが、人が多かったので途中で抱っこ紐に変えました。
展示内容によってベビーカーの利用可否が決まっているようなので、抱っこ紐と両方用意しておいて、当日美術館のスタッフに聞いてみるのがおすすめです。

すやすや寝ている0歳の女の子

 芸術鑑賞というと、大人が静かに味わうものというイメージがありますが、子どもと一緒だとまた違う体験が得られます。「鑑賞する」以上に、「発見」と「体験」の要素が強くなります。作品の前で立ち止まる時間は短いかもしれませんが、子どもの目線や感覚を通じて見ると、作品を異なる角度から見ることができます。

 「つくるよろこび 生きるためのDIY」展は、芸術を難しいものではなく、日常とつながるものとして捉えられる展示会でした。普段の生活で「工夫してつくる」「遊びながら考える」といった営みは、実は立派なアート体験なのかもしれません。

 都民の日という特別な日に、美術館という場で親子一緒に「つくることの楽しさ」に触れられたことは、わが家にとって忘れられない時間となりました。これからも、子どもたちと一緒に「芸術さんぽ」を重ねていきたいと思います。

おわりに|帰宅後のできごと

帰宅後に無心で工作を始めた娘。
ペットボトルに水を入れ、アルミホイールをちぎり、ジップロックに自分と蛸の絵を(蛸はママ描いて!とのこと)描いたものを浮かべて「海の完成!」と見せてくれました。

下から懐中電灯で照らすと更にキラキラ光ると興奮して教えてくれました。

ペットボトルの作品(横から撮影)
ペットボトルの作品(上から撮影)
キラキラの海ができあがりました