【親子で芸術さんぽ】娘と初めてのバレエ鑑賞 — 松山バレエ団「こども くるみ割り人形劇場」のポスト

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和多谷沙耶

兵庫県出身。二児の母。3歳からクラシックバレエをはじめる。
大阪芸術大学芸術学部舞台芸術学科卒業。

映像とライブパフォーマンスの融合を極めたパフォーミングアーツカンパニー「enra」の立ち上げに参加し、東京五輪招致や第68回カンヌ国際映画祭授賞式のオープニングアクトをはじめ、国内外30ヶ国で公演やツアー、TV番組でパフォーマンスを行う。
退団後は、宝塚市立文化芸術センターのPR動画、オープニングイベントに出演。フィギュアスケートのジュニア選手の指導にも携わる。

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3歳の娘と「こども『くるみ割り人形』劇場」を鑑賞

 冬の訪れを感じると、毎年のように思い出す作品があります。それは、チャイコフスキーの名作『くるみ割り人形』。3歳のころからクラシックバレエをはじめ、プロのパフォーマーとして活動していたので、この季節になると『くるみ割り人形』の音楽を耳にするだけで心が弾みます。

 娘が3歳になったら一緒にバレエを観に行こうと心に決めていました。その小さな夢を叶えるべく、松山バレエ団の「こども『くるみ割り人形』劇場」を観に行ってきました。

子どもにも分かりやすい『くるみ割り人形』の世界

松山バレエ団 「くるみ割り人形」 0歳入場可!|公益財団法人 松山バレエ団|https://www.youtube.com/watch?v=uQFiFhwe5dw|最終閲覧日:2025年11月7日

 クラシックバレエは、セリフを使わず身体の動きだけで物語を表現します。登場人物の感情は、踊りや音楽、舞台照明を通して伝わっていきます。大人でも想像力を働かせながら観るバレエ。「小さな子どもには難しいのでは?」と思われるかもしれませんが、『くるみ割り人形』はストーリーが分かりやすく、登場人物も親しみやすい作品です。

 お菓子の国、ねずみの王様、雪の妖精たち…。子どもたちの目にも楽しい世界が広がります。初めてのバレエ鑑賞にもぴったりなのです。

 今回観た「こども『くるみ割り人形』劇場」は、松山バレエ団が子どもたちにバレエを身近に感じてもらうために企画した特別公演。通常よりも短い上演時間で、途中にはナレーションや解説が入り、ダンサーがマイクを使ってお話ししてくれる場面もあります。

子どもたちの集中が途切れないような工夫が随所に見られました。

 一方で、踊りや衣装、舞台美術は本格的。大人も十分に満足できる公演内容です。私が子どもの頃、初めて観たプロのバレエ団も松山バレエ団。劇場に行く電車の中での胸の高鳴りや、今までに聞いたことのないほどの大きな拍手。すべて鮮明に記憶していて、母が買ってくれた公演のパンフレットは今も大切に持っています。母になった今、娘と同じバレエ団の舞台を観られたことに、特別な感動がありました。

“最後まで観ること”以上の価値がある親子の舞台体験

 会場に着くと、大きなクリスマスツリーが出迎えてくれました。ロビーには子どもたちが自由に絵を描けるスペースがあり、すでに“劇場に来た”というワクワク感でいっぱい。娘は最初こそ緊張していましたが、ツリーを見つけるとすぐに笑顔になり、「早く中に入りたい!」と嬉しそうに客席へ向かいました。

【親子で芸術さんぽ】娘と初めてのバレエ鑑賞 — 松山バレエ団「こども くるみ割り人形劇場」では大きなクリスマスツリーがお出迎え!

 私も久しぶりの生のバレエ鑑賞に胸が高鳴ります。照明が落ち、オーケストラの音楽が流れ出した瞬間、あの頃の自分の記憶がふっと蘇りました。

 とはいえ、現実はそう簡単には行くことはなく…。暗い照明やねずみの王様の登場シーンが怖かったようで、娘は途中で「もう出たい」と言い出しました。

 あと少しで終わりというタイミングで席を立つことになりましたが、私は「最後まで観られなかったこと」よりも、「一緒に劇場に行けたこと」を大切にしたいと思いました。

 無理に座らせて“怖い思い出”にしてしまうより、「ママと観に行った」「バレエってきれい!」と少しでも楽しい記憶として残る方がずっと意味があると感じたからです。

 バレエ公演と聞くと「静かにしていられるか心配」と思う方もいるかもしれませんが、最近では、子ども向けの短縮版や解説付きの公演、親子で入場できるマチネ回(昼公演)などが増えています。

 私自身も娘と2人で行くのには少し勇気がいりました。でも、行ってみると会場には同じような親子がたくさんいて、「うちも途中で出ちゃったけど楽しかったね」と笑い合う光景もあり、その温かさに励まされました。

 親子での劇場体験は、“最後まで観ること”が目的ではないのでしょうね。少しの時間であっても、同じ空間で、同じ音と動きを感じること。それが何よりも貴重な体験になるのだと感じました。

松山バレエ団「こども『くるみ割り人形』劇場」

この冬、親子で“劇場デビュー”してみませんか?

 冬はバレエの季節です。全国で『くるみ割り人形』の公演が多数上演されます。松山バレエ団のほかにも、新国立劇場バレエ団、Kバレエ トウキョウ 、海外カンパニーの来日公演など、さまざまなバリエーションの「くるみ割り人形」を観ることができます。

新国立劇場バレエ団|バレエ&ダンス公演一覧

Kバレエ トウキョウ

 最近は、親子向けのチケット設定や、子どもOKのシートエリアを設ける劇場も増えました。「バレエはハードルが高い」と感じる方も、子どもと一緒に芸術に触れるきっかけとして、この季節の公演を選んでみてはいかがでしょうか。

 娘と初めてのバレエ体験は、最後まで座って観ることはできなかったけれど、「生の舞台を感じた」という一点で、かけがえのない時間になりました。

 子どもが小さいうちは、予定通りにいかないことばかりですが、それでも一歩踏み出してみることで、親子の“新しい景色”が見えてくるように思います。

 この冬、ぜひお子さんと一緒に劇場の扉を開けてみてください。

【親子で芸術さんぽ】娘と初めてのバレエ鑑賞 — 松山バレエ団「こども くるみ割り人形劇場」でお手紙を書く様子