子供と一緒に本を読む保護者

キッズコーチングについて考える〜子供のためのコーチングとは〜

近年、子供を対象にした教育支援法として「コーチング」という言葉を聞いたことはありませんか?

一般的に「コーチング」というとスポーツ分野での指導や企業での教育といったイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、子供との関わり方の1つに「キッズコーチング」という教育支援法があります。

この記事では、コーチング及びキッズコーチングの概要や考え方、目標や成果に結びつけるためのポイントなどをご紹介していきます。

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大塚浩美(日本親子コーチング協会 認定コーチ)

ソリューション開発の経験を活かし、子供の心の育成支援を仕組みで提供。ワーキングマザーに心の余裕を提供し、自分を信じてチャレンジできる子どもたちを育てることを目指して活動中。

■コーチング・キッズコーチングとは?

勉強をする親子

コーチングとは、コーチとしての専門的なトレーニングを受けたコーチが、コーチを受ける対象者とともに目標を設定し、その目標を達成して成果を出していく手法を指します。

上から目線で命令して指導する。過保護に全てをサポートして目標を達成させる。そのような形ではなく、対象者へ寄り添う形でサポートをし、並走するように目標達成へと向かう形がコーチングです。

この考え方を、子供を対象とした関わり方に取り入れたものが「キッズコーチング」です。

コーチは対象者を尊重し、お互いにコミュニケーションをしっかりと図りながら、本人が希望する目標達成へと導くサポートを行います。
コーチングで重要になるのは、対象者がより効率良く、より効果的に行動できるようにサポートすることなのです。

■コーチングの考え方

コーチというと、一般的にはスポーツチームの指導者などがイメージされますが、日本のコーチの多くはコーチングではなくティーチングを行っています。

この点、コーチングとティーチングはまったく異なる方法です。

ティーチングは、親や先生などが子供や生徒に知識や経験をもとに指導し、目標達成へと導く方法なので、指示という形でコミュニケーションが行われがちです。

これに対して、コーチングは、一方的に「これをしなさい、あれをしなさい。」と答えを与えて指導するのではなく、対象者が答えを創り出すためのサポートを行うのが基本となります。

「答えはその人の中にある」が基本の考え方

コーチングでは、「答えはその人の中にある」ことが基本の考え方になっているためです。

コーチングでは、外から与えられた答えは情報であり、自分の内にある答えこそ納得感に結びつくと考えます。

対象者が納得してこそ、自分の能力を発揮し、伸ばせると考えるのです。

そのため、キッズコーチングでは子供が状況に応じて自ら考え、行動した実感から学ぶことをサポートすることがポイントです。

子供が本来持っている潜在的な力や可能性を最大限に発揮できるように行うコミュニケーション技術が、キッズコーチングと言えるでしょう。

■コーチングのプロセス

ハイタッチする大人と子供

コーチングでは、互いのコミュニケーションが重要であり、本人に答えを出させることが大切だということを前述させていただきました。

では、コーチングはどのように行われていくのでしょうか。

はじめに対象者からテーマと目標を引き出す

コーチングのプロセスは、はじめにコーチが本人にインタビューすることからスタートします。

・テーマの設定
・テーマにおける目標の設定(どうありたいか)

・何を目標にするのか
・いつまでに達成したいか
・取り組む期間はどのくらいにするのか

といったように、対象者が何を希望しているか、何をテーマや目標とするか、などを引き出すことから始まります。

キッズコーチングの場合はかみ砕いて分かりやすく

子供の場合は、よりかみ砕いてわかりやすく伝えます。

「何か目指したいことはある?」
「それがどう状態になったらいい?」
「いつまでに達成したい?
「何ができたらゴールにする?といった形です。

小さなゴールを設定するプロセス「ベイビーステップ」

インタビューで本人の意向が明確になったら、その取り組みを文字に起こし、目標に向けた達成しやすい小さなゴールを設定します。

これにより、大きな目標に向かって踏み出しやすくなり、小さなゴールのクリアで得られる達成感や自信が次のステップへのモチベーションを高めます。
このプロセスを「ベイビーステップ」と呼びます。

これらの取り組みを本人が行っていくために、ワークシートや評価シートなどをコーチがサポートとして作成したり、取り組みを促すための資料などが提供されることもあります。

対象者が取り組む目標・期間に合わせて、週に1回、月に数回、といったように定期的なペースでコーチングを行い、成果が出せるようにサポートしていきます。

■成果に結びつけるためのポイント

成果が出なかった際は本人の意見・気持ちを聞く

もちろん、コーチングを通じて本人が作成した取り組みをこなせば必ず成果が出る、というわけではありません。

対象者が取り組みでうまく成果が出なかったと感じていなかったり、目標の達成が出来なかったと感じている時は「なぜ成果が出なかったと思うか」を本人に問いかけます。

先回りして、コーチが「ここがダメだったよ」「ここを直せばいいよ」と指導するのではなく、まずは本人の意見・気持ちを伺います。

本人が自分が成果を出せないポイントに気づければ、そこを意識して改善しようとするので、より効率的に目標達成へと向かえるためです。

対象者自身が設定したステップを振り返ることで、新たな学びや気付きを得ることができるため、将来の取り組みに活かすことができます。

改善のプロセスを通じて成果に向かう

コーチングでは、この繰り返しをしていくので、初めての目標達成には時間がかかるかもしれません。

ですが、このプロセスを通じて、どうすればできるか、できなかった場合の対処法を本人が学んでいくため、次回以降の目標設定、および目標達成の成果が出せるように近づいていきます。

コーチは答えを与えることや一方的にアドバイスを送るのではなく、まずは本人に考えさせ、時にはそれが遠回りな選択であると感じても取り組ませ、多角的な経験から来る本人の気づきと納得感を生み出すことがポイントです。

特に、子供を対象者としたキッズコーチングの場合は、子供が出した答えや迷っていることについて、それをまとめて明確にしたり、「実際にやってみたらどうなるだろうか」と次のステップに導いたり、考え方の道筋を与えたり、「一緒にやってみようか」と行動を促してサポートすることが、成果に結びつけるためのポイントになります。

■コーチングにおける「目標設定」とは

笑顔の兄妹

それでは、コーチング・キッズコーチングにおける「目標設定」とは、どのような事柄を指すのでしょうか。

例えば、将来の夢としてスポーツ選手を目指す、ピアニストを目指す、研究者や医療関係など特定の職業に就業することを目指す、希望の学校に進学する、など、これらを「目標」と設定するケースも多く見られます。

事実、「大会」や「受験」のような緊張感や不安な気持ちを抱きやすく、本来の力が発揮しにくい状況でのセルフマネジメントの力をつけることにも、第三者の視点が加わるコーチングは有効とされています。

しかし、コーチングにおける「目標」は、必ずしも資格の習得や受験の合否といった境界線のハッキリとしたものである必要はありません。

キッズコーチングにおける「目標」を例に挙げると、

・キラキラした2年生(次学年)になれるように
・毎日宿題ができるように
・お友達と仲良く遊べるように

といったように、対象者本人が考えた目標であれば、外部から見た時の規模の大小は関係ありません。

コーチングの「目標設定」における大切なポイントは、対象者本人が目標を設定すること、目標達成に向かって取り組みができることです。

■コーチの存在と役割について

コーチの存在は良き理解者であり伴走者

コーチの存在は良き理解者であり、パートナーです。コーチの重要な役割は、一緒に歩む伴走者です。

キッズコーチングの場合、コーチはおのずと年齢の離れた年上の人になります。

それでも、上下関係や指導関係は生まれません。

コーチは、子供が設定した目標を達成するための思考、行動を促し、達成させ、最大限の成果を出すために傍らに寄り添い、継続的にサポートしていきます。

そのプロセスでコーチは本人に質問したり、話を聞いたり、観察するなど、それぞれに合わせたアプローチを行い本人を勇気づけます。(※勇気づけることで困難を克服する活力がわいてきます。)

対象者の成長を促すことがコーチの役割

コーチングを通して、本人がアイデアを生み出す力を発揮し、自らの潜在能力を発揮できるようサポートし、対象者の成長を促していくことがコーチの役割です。

近年は少子化や子供の個性を尊重する時代となっており、集団教育や上から目線の指導ではなく、個別具体的で子供を尊重する教育が注目されるようになっています。

コーチは、親や学校の先生とはまた異なる立場から、子供がより自立的に成長することをサポートする役割を果たすと言えます。

■コーチの選び方

?マークのキューブを持つ女性の手元

実際にキッズコーチングに取り組もうと考えた際に、保護者自身がコーチングを学んで、自らの子供をコーチする方法もあります。

しかしながら、いかにコーチングのプロであっても、自分の子供となると、どうしても感情が先行してしまい、うまくいかないことが少なくありません。
受け取る子供側も、やはり親として見てしまうので、甘えや不満が生じやすいという側面があります。

そのため、コーチングを行う際には、第三者のコーチを選ぶのが理想的とされています。
第三者のコーチには、親には話しづらいテーマも話すことができるというメリットもあり、子供の世界を広げるという面でも有効とされています。

コーチの専門領域や資格を確認しましょう

コーチの選び方として、まずコーチとしての専門領域や資格、経験を確認しましょう。

コーチとしての専門領域として、子供のコーチを得意としている、スポーツのパフォーマンスアップが得意など、子供にコーチをつけたい理由にマッチしているかを確認します。

経験は単なる年数だけでなく、これまでコーチを手掛けたクライアント数やコーチングの時間数などもチェックしましょう。

コーチとしての専門的な訓練をどこで学習したのか、日本コーチ協会、国際コーチ連盟などの会員であるか、認定資格の条件としてどのくらいの学習時間やクライアントのコーチング時間数をクリアしているかなど確認するのもおすすめです。

また、コーチ以外に何かスキルや知識を持っているかもチェックしましょう。
例えば、子供が取り組んでいるスポーツや音楽の経験がある、保育士や教員の免許があるなど、資格をチェックすることでより適正なコーチの判断材料となります。

実際にコーチと面談する際には、コーチングをどう定義しているかと、コーチの倫理規定について説明できるか質問してみましょう。

重要となるのは子供とコーチの「相性」

そのうえで、コーチ選びで重要になるのは、なんといっても子供との相性です。

共に歩む伴走者となるのですから、信頼できるコーチとのパートナーシップが不可欠です。

子供と実際に話をさせてみて、話しやすいか、話し方のテンポは合っているか、安心してコミュニケーションを取っているかなどを見てみましょう。

■まとめ

手を繋ぐ親子

コーチングとは、本人の意思や考え方を尊重し、本人の迷いを取り去り、本人が答えを出しながら、設定した目標に向かって進み、成果を出すことをサポートするものです。

上からの命令や指導ではなく、傍らで共に歩み、より効率的かつ効果的に成果が出せるようにサポートを行います。

「答えはその人の中にある」という根本的な考え方のもとで、答えを与えることや先回りしてアドバイスするのではなく、本人に考えさせ、気づきを与えることに重点を置く目標達成方法です。

子供との関わり方として今回ご紹介した「コーチング」という教育支援法が役立ちましたら幸いです。

この記事の監修者

大塚浩美のプロフィール画像

大塚浩美(日本親子コーチング協会 認定コーチ)

福島県いわき市出身。2014年生まれの女子の母。
TISインテックグループ株式会社ネクスウェイ(元リクルート)にて約20年、営業職、サービス運用、プロダクトマネジメントを経験。
最後の5年は事業責任者として、企業向け業務ソリューション事業の立ち上げ、戦略立案と実行、プロダクト開発、マネジメントに従事し、事業の黒字化を実現。

一方、忙しいワーキングマザーとして子供との関わりに課題を感じ、コミュニケーション不足や上手く接することができない不安や罪悪感を抱いていました。そのため、子供のメンタルコーチングを試してみたところ、子供の心の成長に大きな効果を感じ、自身も日本親子コーチング協会にてコーチの認定を取得。
2023年よりコーチとして活動する中で、ソリューション開発の経験も活かし、子供の心の育成支援を仕組みで提供し、ワーキングマザーに心の余裕を提供し、自分を信じてチャレンジできる子どもたちを育てることを目指して活動中。

所持資格

「ほめるをつくる」ピコトン

株式会社ピコトンの17周年バナー

2007年の創業以来ピコトンは、子供たちの「ほめるをつくる」ことを目標として、子供向けイベント専門の会社として企業活動に取り組んでまいりました。

創業より17年経った現在も、このパーパスを指標に、全国の子供たちに素敵な経験をお届けできるよう、日々励んでいます。

失敗もたくさんするけれど、
本気の失敗が⼀番の学びになる。
⼦どもの「こだわり」をほめよう。
⼦どもの「やりすぎ」をほめよう。
⼦どもの「しっぱい」をほめよう。

アイデアには世界を変える⼒がある。
⼦どもの「アイデア」をほめよう。

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