2024年7月3日に「新紙幣」が発行されました!
2024年7月3日に新紙幣が発行されました!
20年ぶりに刷新された紙幣は、一万円札に渋沢栄一、五千円札に津田梅子、千円札に北里柴三郎の肖像がデザインされています。
今回は「新紙幣」のデザインの特長や、紙幣の肖像画に選ばれた人物とその生涯について解説します!
また、気になる今後の「旧紙幣」の取り扱いについてもご紹介!
皆様のお役に立ちましたら幸いです♪
新紙幣が私たちの手に届くまで
今回の新紙幣の発行が発表されたのは、遡ること5年前。
財務省は2019年の4月に、偽造抵抗力強化等の観点から様式を新たにして製造し、2024年度上期を目途に発行を開始することを公表しました◎
そして、2024年7月3日に晴れて発行された新紙幣。
まず、日本唯一の中央銀行である日本銀行から各金融機関へ配布され、その後、銀行の窓口やATMを通じて私たちの手元に届けられる仕組みになっています♪
新紙幣に描かれている人物は、3つの分野の偉人!
新紙幣には、それぞれに異なる分野の偉人の肖像画が描かれています。
中でも一万円札は、1984年の起用から40年間も肖像画に選ばれていた「福沢諭吉」から、ついに新たな人物へ!
以下では、新紙幣発行で新たに肖像画を起用された日本の偉人3名について、その人となりや功績についてご紹介します◎
一万円札の新紙幣:日本初の銀行を作った「渋沢栄一」
渋沢栄一(しぶさわ えいいち)は、幕末~明治時代に活躍した、現代の日本経済の礎を築いた人物!
日本の銀行制度に加え、株式会社の制度もを作り上げたされ、「日本資本主義の父」とも呼ばれる渋沢栄一。
日本の近代化に大きく貢献した人物として知られています。
1873年に、日本で初めての銀行である「第一国立銀行(現:みずほ銀行)」を作ったことが有名ですが、なんとその生涯において他にも約500社もの企業を興した大実業家!
財務省は「傑出した業績を残し、新たな産業の育成といった面からも日本の近代化をリードして、大きく貢献した」として、渋沢栄一を一万円札に起用しました◎
新紙幣の裏面には、明治・大正期を代表する建築物でもあり、「赤レンガ駅舎」で有名な重要文化財「東京駅(丸の内駅舎)」が描かれています◎
五千円札の新紙幣:日本における女子教育の先駆者「津田梅子」
津田梅子(つだ うめこ)は、女子専門教育の先駆者である明治の教育家!
現在の津田塾大学の礎となった私塾「女子英学塾」を1900年に創設し、女性の地位向上に努めた人物です。
当時の日本は、今以上に女性の地位が低い社会でした。
そんな時代に「女性の地位向上が日本の発展に繋がる」と信じ、「男性と協同して対等に力を発揮できる女性の育成」を目指して、女性が高等教育を受けられる環境を作ることに力を尽くしたのが、この津田梅子という人物です。
この功績を理由とし、近代日本における女性の活躍に多大なる貢献をした人物として、津田梅子は新紙幣に起用されました◎
新紙幣の裏面には、古事記や万葉集にも登場し、古くから日本で親しまれてきた花、「藤(ふじ)」の花が描かれています。
千円札の新紙幣:破傷風の予防と治療法を開発した「北里柴三郎」
北里柴三郎(きたざと しばさぶろう)は、近代日本医学、細菌学の礎を築いた人物!
慶応義塾大学医学部を創設、世界発の破傷風菌培養に成功、血清療法の確立など、医学の発展と進歩に大きな影響を与えました。
北里は非常に研究熱心な人物で、「人に熱と誠があれば何事も達成する。世の中は決して行き詰まらぬ。もし行き詰まったとしたら、それは人に熱と誠がないからだ。」という言葉を残したほど。
北里柴三郎は、「日本の近代化において科学の発展に大いに貢献した人物」として、今回の新紙幣に起用されました◎
新紙幣の裏面には、江戸時代の浮世絵師である葛飾北斎によって描かれた「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」が起用されています。日本人にとって非常になじみ深い「富士山」をモチーフとした、世界的に有名な作品です♪
紙幣に描かれる人物は、今の暮らしの基礎を作りあげた人物
起用後は国民の生活にとってより一層身近な存在となる「お札の肖像画に選ばれる人物」ですが、その人物選定にはきちんとした基準、理由があります。
今回、新紙幣の肖像画に選ばれた三名は、どの人物もそれぞれの分野で大きな業績を残したと共に、私たちの今の暮らしの基礎を作りあげた人物。
誰一人欠けても、今の日本の暮らしは成り立ちません。
このように、毎日の暮らしの中で頻繁に手に取る「お札」には、きちんとふさわしい人物が選ばれているんですね◎
さらに、近年の新紙幣の発行においては、
(1) なるべく精密な写真を入手でき、偽造防止がしやすい人物であること
(2) 品格のある紙幣にふさわしい肖像であり、肖像彫刻の観点から見ても優れている人物であること
(3) 業績が広く認められており、国民に広く知られている人物であること
といった観点を踏まえた上で、明治以降の人物から採用されています◎
旧紙幣は、新紙幣発行後も使用可能
現在発行されている一万円、五千円及び千円の紙幣(旧紙幣)は、新紙幣発行後に使えなくなってしまうことはありません。新紙幣の発行が開始された後でも、特別な措置がとられない限り無制限に、引き続き使用することができるのでご安心ください。
また、銀行の窓口を利用すれば旧紙幣を新紙幣に交換することも可能です◎
すでに発行が終了し、流通において不便な旧紙幣などがある場合は、お近くの銀行窓口にてお問合せください。
⇒ 日本銀行 日本銀行について「これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか? 古いお札を持っていますが、現在も使えますか?」
新紙幣のデザインのワケと秘密を大解剖!
新紙幣のデザインについては賛否両論が見受けられます。
「前のデザインの方がよかった!」という声もあれば、「新しいデザインのココが凄い!」という喜びの声も。
そこで今回は、新紙幣のデザインのワケと、細部に込められた秘密を大解剖!
新紙幣のことを知るきっかけにしていただけると幸いです♪
新紙幣のココが凄い!:1. 偽造防止技術
一つ目のポイントは、なんといってもその「偽造防止技術」の巧みさ!
目を凝らすと見ることができる「高精細すき入れ」や、驚きの「3Dホログラム技術」など、魅力がてんこ盛り!
ここからは、今回の新紙幣に実際に使われている技術を簡単にご紹介します♪
(1)深凹版印刷
この「深凹版印刷」は、インクを高く盛り上げる印刷の技術。
実際に触ってみると、印刷された部分の表面が少しざらざらしています!
(2)高精細すき入れ(すかし)
紙幣には、従来から「肖像のすかし」が入っていました。
今回発行された新紙幣ではさらに、肖像の背景に当たる部分に「高精細なすき入れ」が入っています!
新紙幣を手にしたい際には、ぜひじ~っと見てみてください♪
(2)すき入れバーパターン
こちらも同じく「すき入れ」に関するデザイン!
各紙幣にそれぞれ、縦棒状のすき入れ、「すき入れバーパターン」が入っています。
今回の新紙幣は、券種毎に「本数」が異なっているのが特長です!
(4)ホログラム
新紙幣を手にした際にぜひ楽しんでいただきたいのが、この「ホログラム」!
肖像が三次元的に見え回転したり、見る向きによって肖像以外の図柄も変化するなど、驚きが沢山詰まっています!
この「ホログラム」技術、なんと銀行券への搭載は世界で初めてなんですよ♪
実際に手にすると、その繊細さや技巧のレベルの高さに驚くこと間違いなし!
新紙幣を手に入れた際はぜひ注目してみてくださいね!
(5)潜像模様
それぞれのお札には、傾けると文字が浮かび上がる、「潜像模様」があります!
表面は額面の数字、裏面は「NIPPON」の文字が浮び上がる、見事な印刷技術です♪
(6)パールインキ
こちらも、新紙幣の驚きのポイント!
紙幣を傾けると、「パールインキ」によって左右の端の部分が薄ピンク色の光沢を放ちます!
コピー機ではこういった光沢を再現することは非常に難しいもの。
見た目も上品で特別感があるので、偽造防止の役割を果たしつつ、紙幣のデザインにおいても効果的な工夫です♪
(7)マイクロ文字
そして、なんといっても驚きなのが、この「マイクロ文字」!
虫眼鏡などでよくよく見ると、コピー機では再現できないほど小さな「NIPPONGINKO」の文字が……!
普段お札を使っている中ではなかなか気が付きませんが、こんなに細かな部分にも工夫が詰まっているんですね◎
(8)特殊発光インキ
新紙幣のデザイン、こちらは普段はお目にかかることはない部分にはなりますが、偽造防止には非常に効果的!
紙幣に紫外線をあてると、「特殊発光インキ」を使用して印刷された日本銀行総裁の「印章」や模様の一部が、発光し出すんです!
表面的な柄だけでなく、使用するインキまでこだわって選ばれていることがよく分かります♪
新紙幣のココが凄い!:2. ユニバーサルデザイン
二つ目のポイントは、誰にとっても使いやすい紙幣にするための工夫が詰まっていること!
こういった、文化、年齢、性別、身体などといったそれぞれの人の違いにかかわらず、誰もが利用しやすいよう配慮されたデザインは「ユニバーサルデザイン」と言われ、近年のデザインにおいて非常に重要視されているもの。
「紙幣」といった、あらゆる人が利用する製品には、必要不可欠なデザインの視点ですね♪
今回の新紙幣、それぞれのデザインパーツの配置が不揃いであることや、数字の大きさに若干の違和感を感じた方もいるかと思いますが、これらにもきちんと「理由」があるんです!
以下では、「ユニバーサルデザイン」の観点から新紙幣のデザインについてご紹介します◎
(1)識別マーク
この、斜めの線は、「識別マーク」というもの。
目の見えない方でも指で触って券種を識別できる、優れものです◎
現行の日本銀行券にもこの「識別マーク」はありますが、触った際により一層分かりやすい形にするために、新紙幣からは「11本の斜線」に統一されました。
さらに、券種毎に配置する位置を変えることで、さらに券種を識別しやすくするなど、工夫が詰まっています♪
(2)額面数字の大型化
新紙幣のデザインが発表された際に、多く見られた意見は「数字が大きくなった!」というものでした。
もちろんこの「数字の大きさ」にも、きちんとワケがあるんです◎
新紙幣では、表裏の額面数字(アラビア数字)を、現行の日本銀行券(旧紙幣)よりも大幅に大きくして、配置も変更されています。
より目立つ位置に、大きな文字で「数字」を配置することで、誰でもすぐに券種を識別できるように工夫されているんですね♪
(3)ホログラム・すき入れの形・配置
新紙幣の一つ目のポイントで、偽造防止の観点から「ホログラム」や「すき入れ」の工夫についてご紹介しましたが、それらの「形」や「配置」にも配慮が行われているのが新紙幣の特長!
どの券種にもホログラムやすき入れのデザインは採用されていますが、それらがどんな形で、どこに配置されているかは大きく異なります。
このように、同じデザインの工夫でも、形と配置を券種に変えることで、パッと見ただけでも券種を識別しやすくしているんですね♪
新紙幣にも搭載!偽造防止の切り札「ユーリオン」のヒミツ
偽札防止の切り札となるのは、「ユーリオン」という模様。
実は五つ以上の小さな円形模様が、とある法則によってお札に印刷されているんです。
コピー機がその模様を読み取ると「紙幣」だと認識し、複合機から警報が鳴る仕組みなっているんだとか!
「ユーリオン」は特定の計算式に基づいて配置されます。
この計算式は中央銀行やソフトメーカー、印刷機会社などに限って公開されるため,もちろん一般公開はされていません。
この「ユーリオン」は、旧紙幣に引き続き、新紙幣にも起用されていますよ◎
⇒ 事務機器ネット「お金はコピーできないってホント?コピー機の偽札防止対策とは!」
お札の工場見学ができちゃう!?国立印刷局とは
お札は「国立印刷局」で印刷されています。
この「国立印刷局」は、全国に6か所存在しますが、中でも、東京・小田原・静岡・彦根の4か所は実際に工場見学をすることができます!
お札がどのように作られているか、どんな技術が使われているのかなどを実際に見ることができる、とても珍しい工場見学です♪
夏休みの自由研究やお出かけ先にもぴったりなので、新紙幣が発行された2024年の夏にぜひ足を運びたいですね◎
工場見学の詳細は国立印刷局の公式HPをご確認ください。※無料で見学できますが、事前申し込みが必要です。
⇒ 広報東京都 こども版「新札を世に送り出せ!国立印刷局のヒミツ」
まとめ:20年ぶりの新紙幣の発行!親子で話そう
新紙幣の発行は、2004年以来20年ぶり!
これまで旧紙幣に親しんできた大人は、慣れるまでは少し違和感を感じるかもしれません。
しかし、これから社会で生きていく子供たちにとっては、「新紙幣」がお札のスタンダードとなっていきます。
キャッシュレス決済が浸透したことで、以前と比べるとお札に触れる機会は減りつつありますが、今回ご紹介した「紙幣」に関する知識は、これまで「日本」を創ってきたのはどんな人だったのか、そして、お札一枚にどれだけの工夫と熱意が込められているのかを知ることができるものばかり。
これからの未来を生きる子供たちに、ぜひ伝えていきたいものですね♪
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