
布から紙を作る「渋谷ペーパー」!?現役中学生二人が手掛けた「卒業証書プロジェクト」の発表会に行ってきました!

2025年3月某日、いらなくなった布を「渋谷ペーパー」に生まれ変わらせる「卒業証書プロジェクト」の発表会が開催されました。
発表が行われた、渋谷区代官山駅から徒歩1分の「Forestgate」内にある「TENOHA代官山」は、東急不動産が手掛ける、サステナブルな取り組みとの接点を得たり情報共有を行うための施設です。
「卒業証書プロジェクト」は、中学生二人組が手掛けるプロジェクト

「卒業証書プロジェクト」は、現役中学生二人組が手掛けるプロジェクト。
実は現在、日本国内で生産される衣服は1年間で約80万トンなのに対し、捨てられてしまう衣服はなんと約50万トンに上ります。
こうした状況に一石を投じるために、「捨てられてしまう衣服から紙を創り出す」ことを目的とした、「卒業証書プロジェクト」の取り組みが始まりました。

「卒業証書プロジェクト」では、捨てられてしまう予定だった服や布からできた「渋谷ペーパー」を生み出すための資金が、クラウドファンディングにて募集されました。
2024年9月13日に始まったこのクラウドファンディング。
弊社で働くスタッフからの紹介で「渋谷ペーパー」を生み出すプロジェクトの存在を知った株式会社ピコトンも、ぜひ応援したいと思い支援を行いました。
開始から約1か月半でクラウドファンディングは無事目標額を達成したようで、「卒業証書プロジェクト」は、布からできた紙「渋谷ペーパー」の制作に晴れて成功しました。
「卒業証書プロジェクト ~中学生が渋谷の繊維ゴミから未来をつくる~」の発表会

それでは早速、「卒業証書プロジェクト ~中学生が渋谷の繊維ゴミから未来をつくる~」の発表の様子を紹介します。
今回の発表者は、「渋谷ペーパー」を生み出した「卒業証書プロジェクト」の発起人であり実行者の中学生2人組、SaayaさんとYuiさん。
「渋谷から出る繊維ゴミを、紙に生まれ変わらせ(渋谷ペーパー)、渋谷区立小中学校の卒業証書を渋谷ペーパーで作りたい!みんなに環境問題への行動=大変・我慢では無いことを知ってもらいたい!そして渋谷を、ゴミを出す街から、ゴミから新しい価値を生む街に「Shift」させたい!」
そんな思いのもと、「卒業証書プロジェクト」は行われてきたそうです。
事の発端は2021年に渋谷で開催されたワークショップ「SKAP」

このプロジェクトは、2021年に渋谷で開催された「Social Kids Action Project」、略して「SKAP」が開催したワークショップへの参加がきっかけとなり始動したプロジェクトです。
「SKAP」は、渋谷区からの委嘱で始動した取り組みで、特別協賛として東急不動産が関わっています。
他にも数々の企業が関わり、子供たちの社会参加を促進するためのワークショップが多数開催されています。

卒業証書プロジェクトの発案者であるSaayaさんは、小学生の時に参加したSKAPの中で、「誰かにとってはいらないものでも誰かにとってはいるものがある」という言葉に出会いました。
実はなんと、「SKAP」でワークショップに参加した2021年当初、小学五年生だったというので驚きです。
そしてその言葉が、こういったテーマについて考えを深めるきっかけになったんだとか。
2023年12月、卒業証書プロジェクトがスタートしました。
その後、たまたま参加したイベントで教育委員会の方と再会し、今回のプロジェクトが本格的に動き出しました。
今一緒に活動をしているYuiさんは中学校で出会い、2024年6月頃から共に活動し始めました。
彼女たちの活動は次第に渋谷区様、教育委員会様、東急不動産様、一般社団法人サーキュラーコットンファクトリー様、地域の保育園や幼稚園など、多くの大人から支持を得ながら展開していきます。
発表を聞いていて、子供たちが興味や問題意識を持って本気で動き始めることが持つ、とても強い求心力と可能性を目の当たりにしました。
服が大量に廃棄され、「ゴミ」になる街という現実と向き合う

SaayaさんとYuiさんの目的は、まずこの活動をもっと多くの人に知ってもらいたいということです。
二人はある時、原宿の有名なショップで服が大量に廃棄される現実を目の当たりにしました。
原宿や「アパレル」が持つ、カッコよくて可愛い、おしゃれなイメージとは裏腹なその現実に直面した二人でしたが、1人の大きな行動より、多くの人の小さい行動の方が力を持つと考え、みんなの意識をすこしずつかえていければと思いました。

そこで、「不要なものを捨てるのではなく、再利用して新しい価値を生み出すこと」に着目しました。
こういった経緯で、「簡単に捨てられないもの」として二人が注目したのが「卒業証書」なんです。
「渋谷ペーパー」を通して渋谷を「ごみが多い街から、ごみから新たな価値を作り出せる街」にするというビジョンをもつこの「卒業証書プロジェクト」は、持続可能な社会を創り出すための取り組みとしても大きな意味を持ちます。
「渋谷ペーパー」になることで、捨てられてしまう布は「保育園の卒業証書」へ
昨年末、SaayaさんとYuiさんは東急不動産の皆様、高知県の小学校や保育園、土佐和紙壁紙を手掛ける株式会社モリシカ様と協力し、約120㎏の服・布を回収しA4サイズの渋谷ペーパー約6600枚に生まれ変わらせることができました。
布を提供してくれた小学校や保育園の方々は、タグや印刷がある部分のカットや、素材の選定など、手のかかる工程も非常に丁寧に行ってくださったそうです。
そして、二人が目標としていた「渋谷ペーパー」による「卒業証書」が、実際にSaayaさんが通っていた保育園で今年の3月に使われることが決まりました。
このように二人の想いが形になり、実際に社会との関わりを生み出していることにとても感動しました。
「渋谷ペーパー」はサーキュラーコットンファクトリー様の協力によって実現されました

今回、布から紙を作る「渋谷ペーパー」の制作に協力してくれたのは、一般社団法人サーキュラーコットンファクトリーの代表理事・渡邊智惠子様です。
1985年にオーガニックコットン原綿の輸入販売などを行う会社を設立した渡邊様は、日本でのオーガニックコットン製品製造のパイオニアとも呼ばれている人物です。
SaayaさんとYuiさんの活動はこうした人物の元にも届き、「渋谷ペーパー」の誕生を大きくサポートいただく形が実現しました。
発表では渋谷区長を務める長谷部健様によるゲストトークも行われました

今回の発表会では、毎週地域コミュニティFM「渋谷のラジオ」「区長の部屋」などでも日々情報発信を行われている、渋谷区長の長谷部健様によるゲストトークも開催されました。
長谷部様は、全国60ヵ所以上でごみのポイ捨てに関するプロモーション活動を行うNPO法人green birdを設立された方でもあります。
中学生二人が「渋谷ペーパー」を見事作り上げた今回の「卒業証書プロジェクト」は、渋谷区長を始め沢山の方々が心を動かし、積極的な応援を受けるに至りました。
今後も活動を続けていくと話したSaayaさんとYuiさん
「今後は、企業や自治体、地元の中学生らとも一緒に活動していけたら」と話したSaayaさんとYuiさん。
渋谷区での取り組みだけでなく、さらに幅広い地域での活動も視野に入れていきたいとの意気込みを見せてくれました。
SaayaさんとYuiさんは、この活動は将来的には世界に向けて発信していけるものだとし、日本の伝統技術である紙作りの技術を活用し、環境意識が高い外国の方々にも喜ばれる活動を続けていきたいと話してくれました。

東急さんが手掛ける「東急ステイ」というホテルでは、「卒業証書プロジェクト」の取り組みが展示され紹介されていたそうですが、この展示を目にした外国人観光客からの反応はとても良かったそうです。

今回のプロジェクトを通して、SaayaさんとYuiさんは東急不動産の方と何度も打合せを重ねたそうですが、東急不動産の方は彼女たちを信頼し、プロジェクトの進行を任せる形を徹底していたそうです。
「必要な時だけサポートを行う大人たち」の見守り方は、彼女たちの主体性や能力を最大限に引き出すとても良い関わり方であったように感じます。
SaayaさんとYuiさんは、「これからも活動を続け、環境問題への行動は「大変・つらい」だけではないと知ってもらいたいと思います。」と意欲的な姿勢を見せてくれました。
子供の気づきで大人が「本気」になる

今回の発表を受けて、卒業証書プロジェクトを通して、「洋服が捨てられている」という事実を知る人が増えること自体に、すでに社会啓もうとしての価値が大いにあることを実感しました。
「渋谷ペーパー」誕生の根幹にある、「捨てられてしまうもの」の価値を見直し、新たな価値に転換するという考え方は、地球資源の限界や環境破壊の脅威が迫る現代において、欠かせないものです。
しかし、分かっていてもなかなか具体的な行動を起こしにくいのが大人です。
「卒業証書プロジェクト」は、中学生の二人が主体的に取り組みをスタートさせたことで、数々の大人たちが「本気で」考えるきっかけを貰い、実際に具体的な取り組みが形になっている点が素晴らしいと感じました。
今回の「卒業証書プロジェクト」は、子供の気づきや発信が、大人たちや社会そのものを動かす力を持つことを実感できる、とても良い発表会でした。
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